【セミナーレポート】学習成果の可視化で選ばれるスクールへ ― 世界標準指標を活かす経営とは

Pearson Languages
A teacher talking to young children in a classroom
所要時間: 9

オンライン英会話サービスやAIを活用した英語学習支援など、学習の選択肢が広がる中、英会話スクールや英語塾を取り巻く環境も大きく変化しています。少子化や保護者の「費用対効果」への意識の高まりもあり、「子どもが楽しく通っている」ということに加え、学習成果を分かりやすく伝えることの重要性が増しています。

こうした中で、児童の成長をどのように把握し、保護者へ伝えていくか。本セミナーでは、そのヒントとして「学習成果の可視化」に焦点を当てました。

本記事では、受講者累計18,000名超、年間継続率約90%の実績を誇る英語コーチングスクール トライズの創業者・三木雄信氏が登壇したピアソン・ジャパン主催のオンラインセミナーの模様をレポート。世界標準の指標を基盤とした「ゴール志向」と「個別最適化」の学習設計を中心に、これからのスクール経営に役立つ視点をご紹介します。

セミナー開催概要

  • 主催:ピアソン・ジャパン
  • 開催日時:2026年7月4日(土) 
  • 登壇者:トライズ株式会社 代表取締役社長 三木 雄信 氏
  • テーマ:学習成果の可視化で「選ばれるスクール」へ —世界標準指標を活かす英語スクール経営—

登壇者プロフィール

三木 雄信 氏

トライズ株式会社 代表取締役社長

東京大学経済学部卒業後、三菱地所を経てソフトバンクに入社し、社長室長として多数のプロジェクトを推進。2015年より英語コーチングスクール「TORAIZ(トライズ)」を展開。明確な目標設定と一人ひとりに合わせた指導により成果創出を支援し、日本の英語教育の変革に取り組む。

この記事でわかること

  • 学習成果への関心が高まるなかで、保護者が求めていること
  • 国際標準の指標CEFRを補完し、児童の成長を細かく可視化できるGlobal Scale of English(GSE)の特長
  • インストラクショナルデザインの考え方に基づく、目標から逆算した学習設計の進め方
  • 学習成果を「何ができるようになったか」として伝え、保護者との信頼関係につなげる考え方

学習成果の可視化が注目される背景とは ―教育環境の変化と保護者の期待

セミナーの冒頭、三木氏は子ども向け英語教室を取り巻く環境の変化と、学習成果に対する保護者の関心の高まりについて言及しました。

「現在の児童は、英語だけでなくサッカー、バレーボール、そろばん、学習塾など多数の習い事を抱えていて多忙です。物価高が続く社会情勢も相まって、保護者は『この習い事に時間とお金を割く価値が本当にあるのか』をシビアに見極めようとしています。そのため、講師からの『楽しく英語を話せています』といったコメントだけでは、保護者に学習成果を伝えるのが難しくなっていると言えるでしょう。時間や費用を英語教室のために使ってもらうには、『うちの子はどれくらい上達しているのか』を客観的に示すプロセスが不可欠です」

また、中国や韓国での指導経験を持つネイティブ講師の視点として、現地では毎日スクールに通うケースが多い一方、日本では週1回程度の学習機会が一般的であることにも触れました。学習時間が限られる日本だからこそ、成果が見えにくくなりがちです。そのため、小さな成長を可視化し、保護者と共有することが重要だと三木氏は説明します。

世界標準指標「Global Scale of English(GSE)」が学習成果の可視化にもたらす価値

学習成果を可視化する際は、「何をものさしにして測るか」が重要です。三木氏は英語力の主な指標の役割について、次のように整理しました。

代表的な指標

主な役割

CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠) 言語運用能力の国際的な指標として広く活用されている。一方で、A1〜C2の6段階ではマイルストーンの幅が広すぎるため(例:B1からB2への到達には約380〜1,100時間の学習時間が必要)、学習の進捗をより細かく把握するには指標の併用が有効。
TOEIC L&R(Listening & Reading Test) 「聞く」「読む」の2技能を測定するテストとして、英語の基礎力の把握や対外的な証明に広く活用される。
英検(実用英語技能検定) 4技能を含む総合的な英語力の評価として広く認知され、入試・進学や学習目標として活用される。

それぞれ目的に応じて活用されている中、三木氏は、日々の学習成果を継続的に可視化する指標として、ピアソンが開発した「Global Scale of English(GSE)」の有用性を紹介しました。

「GSEは『話す』『聞く』『読む』『書く』の4技能を1点刻み(10~90)で可視化する指標です。文科省も使用を推奨しているCEFRに完全準拠しており、子どもから大人まで共通のものさしで英語力を測定できます。1点刻みで細かく測定できることから、例えば『43点から46点へ上げるには約70〜210時間必要』といった現実的な目標や計画が立てやすくなります。

また、ひとつのマイルストーンの幅が広いCEFRとは異なり、1学年のうちに進歩を示せる点も大きな違いです。子どもの小さな成長は、『数値』と『何ができるようになったか』という記述(Can Doディスクリプタ)で確認できます。子ども自身が手応えを感じられるだけでなく、保護者にとっても成長が分かりやすいというメリットがあります」

成果を偶然に頼らない「インストラクショナルデザイン」の考え方

学習成果につなげるため、三木氏が提唱するのが「インストラクショナルデザイン」の導入です。三木氏はこれを、「感覚的な指導に頼るのではなく、以下のPDCAサイクルを回すための設計思想」と解説します。

目標の設定(Objective)⟶プログラム構築(Contents)⟶アセスメント測定(Assessment)⟶改善(Revise) ⟶目標の設定(Objective)

「ピアソンの英語教育プログラム『Pearson English Journey』も、この考え方に基づいて設計されています」

そして、このPDCAサイクルを回すためのポイントとして、三木氏は以下の2点を挙げました。

1. 目標から逆算する学習設計 ― SMART目標への落とし込み

「目標を設定する際は、『SMARTの法則』(Specific:具体的、Measurable:測定可能、Achievable:達成可能、Realistic:現実的、Time-bound:期限付き)を徹底します。例えば、目標を単に『エッセイを書ける』と設定するのではなく、GSEを活用して『モデルがあれば結論が書ける』といった段階的なスモールステップに分解します。達成可能な粒度で目標を設定することで、挫折やモチベーション低下を防げます」

2. 個別最適化(適切な難易度)の実現

「学習において最も効果的なのは、簡単すぎず難しすぎない、『支援があれば手が届く難易度』にチャレンジすることです。GSEを活用して児童一人ひとりに適した目標を設定することで、小さな達成体験を積み重ねやすくなり、それが学習意欲の維持にもつながります」

英語教室が明日から取り組める3ステップ

セミナーの締めくくりとして、三木氏は英語教室向けの実践ポイントを紹介しました。

ステップ1:ゴールを定義する

「各スコアには『何ができるか』というCan Doリストが1点刻みで紐付いています。これを活用し、児童一人ひとりの目標を『英語で何ができるようになるか』という具体的かつ明確な言葉で設定します」

ステップ2:定期的に測定する

「入会時のプレイスメントテストで4技能の正確な現在地を把握し、その後も定期的に測定を行います。成長の軌跡を追いかけることで、指導法の改善点も客観的に見えてきます」

ステップ3:保護者に価値として伝える

「スコアの数値だけを保護者に渡しても、価値は伝わりません。定期面談などを通じて『具体的にどんなことができるようになったか』という情報へ昇華させ、丁寧にフィードバックすることが重要です。成長を実感した保護者の満足度は高まり、学習継続や紹介・口コミへとつながっていくでしょう」

まとめ

本セミナーでは、英会話スクールや英語塾が「選ばれ続けるスクール」となるための要点として、学習成果の可視化とインストラクショナルデザインに基づく学習設計が示されました。 

学習成果は、目標を設定し、客観的な指標で測定しながら積み重ねられていくものです。そして、その成果を「何ができるようになったか」という形で共有することが、学習者の成長実感や保護者の理解につながります。世界標準の指標であるGSEは、そうした学習成果の把握と共有を支える基盤になるでしょう。

GSEはピアソンの英語教材やアセスメントに共通して用いられています。GSEに基づく教材と、児童の英語力を測定・分析するテスト「English Benchmark - Young Learners(EBYL)」を組み合わせることで、「教える・学ぶ・測る」を一貫した基準でつなぐことができます。

GSEに基づく児童向け学習ソリューションについて、詳しくはこちらをご覧ください。

Don't miss our other blogs.