【セミナーレポート】英語塾の成長を支える教育価値とは?J PREPの実践に学ぶ持続的なスクール経営

Pearson Languages
A teacher sat at a desk with students raising their hands up at him
所要時間: 6 minutes

少子化や学習ニーズの多様化が進む中、英語スクールや塾には、学習成果の向上と持続的な事業成長の両立がこれまで以上に求められています。生徒や保護者から長く選ばれ続けるためには、魅力的な授業だけでなく、確かな成果を生み出す教育設計と、それを支える経営の仕組みが欠かせません。

本記事では、個人塾を生徒数10,000人を超える教育事業へと成長させたJ PREP株式会社 代表取締役CEO・斉藤淳氏が登壇したセミナーの模様をレポートします。応用言語学に基づくカリキュラム設計、LTV(顧客生涯価値)を重視した事業モデル、そして保護者や生徒から長く選ばれ続けるための経営理念について、具体的な実践事例を交えながらご紹介します。

セミナー開催概要

  • 主催:ピアソン・ジャパン
  • 開催日時:2026年9月13日(日) 
  • 登壇者:J PREP株式会社 代表取締役CEO 斉藤 淳 氏
  • テーマ:英語スクールの成長を支える教育価値とは? —本質的な英語力とLTVで考える持続的なスクール経営—

登壇者プロフィール

斉藤 淳 氏

J PREP株式会社 代表取締役CEO 

1969年山形県生まれ。上智大学外国語学部を卒業後、同大学院を経てイェール大学大学院博士課程を修了(政治学Ph.D.)。イェール大学助教授を経て2012年に帰国し、英語塾(現「J PREP」)を起業。同塾を首都圏や地元・山形を中心に生徒数10,000人を超える教育事業へと成長させた。応用言語学の知見を取り入れた独自の指導法と教材開発、データに基づくスクール経営を実践し、日本の英語教育の品質向上に取り組んでいる。

この記事でわかること

  • 生徒数10,000人超へ成長した「J PREP」の経営理念
  • 広告宣伝に依存せずに選ばれ続ける「LTV(顧客生涯価値)」重視の事業モデル
  • 単一の指導法に固執しない「雑食主義」による指導の重要性
  • 成果を可視化する客観的指標の活用と講師育成のあり方

 

持続可能なスクール経営の理念 ― 「LTVを高める」事業モデルの構築

セミナーの冒頭、斉藤氏はJ PREPを設立した背景と、持続可能なスクール経営を実現するための事業モデルについて紹介しました。その根底にあるのが、「LTV(顧客生涯価値)」を重視する考え方です。

「スクール経営において、『完全には上達させないことで、長く通わせる』といった不健全なビジネスはしたくありませんでした」

そのうえで斉藤氏は、教育成果と事業成長は両立できると説明します。

「効果的な指導により生徒のスキルが着実に上達することで、『辞めたくなくなる』形を目指しました」

こうした考え方を実現するため、J PREPでは2歳から高校3年生までを対象に、学年だけでなく英語力に応じたレベル分けを実施しています。同じ学年でも3~6段階のクラスを設け、「生徒の現在地」から学習を始められるよう設計されているのが特徴です。また、カリキュラムは国際標準の指標であるCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)を基準に設計されており、保護者にも分かりやすいよう英検の換算値も併記されています。

また、斉藤氏は日本の大手アパレル企業や大手自動車メーカーを例に挙げながら、「一部の限られた層だけに高額なサービスを提供するのではなく、多くの学習者に質の高い教育を届けられるバランス」を目指してきたと説明しました。そのためJ PREPでは、広告宣伝費を抑える(売上2~2.5%程度)一方で、教材開発や人材育成への投資を重視しています。質の高い教材を内製し、継続的に改善できる体制を整えることで、教育成果と持続的な成長の両立を図っているといいます。

 

言語習得理論と「雑食主義」で実現する本質的な英語指導

学習指導の面において、斉藤氏は「単一のメソッドにこだわりすぎないこと」の重要性を強調します。 

「日本の英語教育業界では、文法だけ、会話だけ、といったように、自分の得意なアプローチにこだわる指導者が少なくないように思います。しかし、言語習得に必要な練習は本来、『雑食主義』であるべきです。文法、フォニックス、多読、会話、CLILなど、生徒にとって役立つものであればあらゆる練習を取り入れ、必要に応じて変えていく柔軟さが必要です」

実際、J PREPでは年齢や発達段階、現在の英語力に応じた多角的なカリキュラムを展開しています。

幼児~小学校低学年

フォニックスの指導からスタートし、アクティビティやオールイングリッシュの環境を通して自然な言語習得を促進。年齢特性に合わせて無理なく基礎力を育成する。

中学生~高校生

発音や音節の仕組みを理論的に教えるとともに、文法・読解・受験対策を体系的に指導。日本人講師とネイティブ講師の強みを組み合わせながら学習を支援する。

発展レベル

日本の歴史・文化やイノベーションをテーマにしたCLIL(内容言語統合型学習)を導入。英語力の向上に加え、 生徒の知的好奇心を刺激し、海外でも発信できる思考力や教養を育む。

さらに斉藤氏は、個別指導スタイルの塾が増えている状況に対して、「集団指導」の重要性を説きます。

「英語の授業の中で生徒が習うスキルは、英語だけではありません。プレゼンテーションやディスカッションの技術を育む場としても、英語の授業は大きな役割を果たすと考えています。集団の中で自分の意見を表明し、他者の意見に反応する練習こそが言語教育において不可欠です。社会に出てから必要とされる対話力を育む場として、J PREPでは集団指導を大切にしています」

 

学習成果の可視化とスクール運営の実践ポイント

セミナー後半の質疑応答では、スクール運営者が直面する具体的な課題について質問が寄せられました。ここでは、特に実践に活かしやすい4つのポイントを紹介します。

1. 定期的な学習成果の測定

「J PREPでは、国際標準の指標であるCEFRをベースにカリキュラムを設計しています。測定については、年齢に応じた手法を取り入れるなど、学習者への過度な負担にならないことが重要です。また、学習開始時だけでなく、その後にも定期的に測定し、進捗を確認することも欠かせません。アセスメントの実施は、スクール側が『学習成果にコミットしている』というメッセージを保護者に示す意味でも極めて重要です」 

2. 在籍生の満足度を起点とする集客

「現在の生徒の満足度を高めることが最も重要です。高い満足度は、口コミによる紹介につながります。J PREPでは広告費を抑えつつ、デジタル広告や交通広告などを必要な範囲で行っています」

3. 家庭学習を支える保護者との連携

「特に低学年層における家庭学習の継続において最も効果的なのは、保護者自身が学ぶ姿を見せることです。保護者が子どもと一緒に英語に触れ、楽しんでいる姿を見せることが、子どもの学びの習慣化につながります」

4. 継続的な講師育成への投資

「今は、優秀な講師がどんどん応募してくるという時代ではありません。そのため、採用以上に社内での育成環境を整えることに注力する必要があります。J PREPでは『業務時間の8分の1は研修時間に充ててよい』という明確な指針を掲げ、指導マニュアルのアップデートや研修機会の確保などを推進しています」

 

まとめ

本セミナーでは、J PREPの成長を支える「応用言語学に基づく指導」と「データ・理論を重視したスクール経営」の実践について紹介されました。

単一のメソッドに頼るのではなく、子どもの発達段階や習熟度に応じて学習方法を柔軟に組み合わせる「雑食的アプローチ」と、客観的な指標に基づくレベル設定とデータ活用によって学習成果を高め、その成果を生徒や保護者の満足度、継続、口コミへとつなげていく。セミナーを通して、教育の質と持続的な事業成長を両立させるための考え方が見えてきました。

特に印象的だったのは、「学習成果の可視化は、スクールが学習者の成長にコミットしていることを示すメッセージでもある」という考え方です。

ピアソンでは、英語教材に加え、児童向け英語アセスメントツール「English Benchmark - Young Learners(EBYL)」を通じて、学習者一人ひとりの英語力をCEFRに基づいて可視化し、「今できること」と「次に伸ばすべき力」の把握を支援しています。

生徒一人ひとりが自ら学び、成長していくための「足場」をいかに組むか。そのための考え方と具体的な実践法を学べるセミナーとなりました。

ピアソンが提供する児童向け学習ソリューションについて詳しくはこちらをご覧ください。

児童向け学習ソリューション

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