コースブック・CAN-DOリスト・ポジティブピアプレッシャーでプレゼンテーション能力の向上を図る
By 大阪/ 公立高校英語教諭 辰巳律子、外国語指導助手 Emmanuell McBryde
私たちの高校は、文部科学省が行った平成29年度英語教育改善のための英語力調査において、読解、リスニング、ライティングの分野がほぼ全国平均スコアと横並びの状態です。ところが、英会話では全国平均が5.7(14点満点中)であるのに対し、本校のスコアは11.7を達成しました。非常に喜ばしい状況です。しかしながら、このスコアはいかにして達成されたのでしょうか?
教科書 教科書の価値に確信を持てない教師が多くいますが、優れた教科書はコースの骨組みとなり、教師の仕事を充実したものへと導きます。さらに、CAN-DOリストが考慮された(CEFRやGSEなどで普及した)コースでは、教師と生徒が明確な目標に向けて集中して取り組むことができます。本校では現在、English Firsthandを使用しています。この教科書は生徒がすぐに実施することができる適切で高品質なアクティビティが提供されているので非常に便利です。さらに、オーディオには様々な英語のアクセントが含まれており、レッスンの目的も明確に記述されていて、レッスンの順序も論理的に構成されています。モバイル操作に慣れている生徒たちは、オンライン教材MyMobileWorldを使用して、教室の外でも発音やその他のスキルの勉強をすることができます。
生徒のプレゼンテーション 私たちにとって特に興味深かったのは、English Firsthandの Presentation Modelです。この教材では、生徒は様々なトピックについてプレゼンテーションを作成する方法をビデオモデルで見ることができ、生徒自身でプレゼンテーションを作成するためのサポートも提供されています。また、モデルは、自然で作り過ぎないレベルのパフォーマンスであり、生徒がアプローチし易いようです。
本校では、まずリハーサルとして生徒10名でグループをつくり、生徒たちは順番でプレゼンター、アドバイザー、エバリュエーター、タイマーとなります。また、生徒がプレゼンテーションを計画するために、ローテーションスケジュールと評価シートを準備しています。生徒がアドバイスと評価をすべて集め終わると、生徒は他の生徒からの評価を用いて、プレゼンテーションの問題点を改善します。自主練習期間を経て、本番で生徒たちは熟慮されたプレゼンテーションを発表することができるのです。

CAN-DOリストと生徒のプレゼンテーション 生徒がプレゼンテーションを行うにあたり、本校ではCan-Doリストとスピーチを直接結び付けて、英語で活動する能力を具体化できるようにしています。ここで重要なことは、生徒たちは各自が選択したCAN-DO目標を共有し、他の生徒はプレゼンターである生徒が選択した目標に基づいてアドバイスや評価を行います。
本校のクラスでは、生徒が他の生徒たちとプレゼンテーションの準備を始める前に、良いプレゼンテーションの明確なモデルについて学びます。その後で、生徒はプレゼンテーションを作成し、他の生徒からアドバイスをもらい、評価を受けます。プレゼンテーションが完了した生徒は、もう一度プレゼンターになる順番が来るまでアドバイザーやエバリュエーターとして参加します。
生徒たちは、プレゼンターとしてだけでなく、アドバイザーやエバリュエーターの役割を通して、ボディランゲージ、アイコンタクト、自信、スピーチの聞き取りやすさ、考えの構成、ビジュアルエイドなどのようなプレゼンテーションスキルをより徹底的に学ぶことができます。

結論 Can-Doリストを中核としたコミュニケーションに特化した教材を使用し、生徒同士でアドバイザーやエバリュエーターの役割も担いながら、プレゼンテーションを徹底的に繰り返し練習することで、本校の生徒の英会話能力と自信が大幅に向上しました。